Hitbox とCPTのコントローラに関する規制について思うこと。

前回の記事

s-s-satoc.hatenablog.com

でヒットボックス風コントローラーワークショップに参加した記事を書いた。今回はそれに関連してヒットボックスとCPTのコントローラーに関する規制について思うことを書いてみようと思う。

 

そもそも多くの人にとってCPTとはなんぞやと言う事から始めなくてはいけないと思う。CPTとはカプコンプロツアーの略で格闘ゲームの世界で最も大きな1連の大会の集まりのことである。今回そのCPTに新たなルールが追加された。これは、コントローラーについての規制を定めたものである。逆に今まで、コントローラーに関する規制がないにも等しいということも驚きではあるが。それだけコミュニティの良心によって大きな間違いが起こらず運営が行えていたのだと思う。

 

そもそもヒットボックス自体は新しいデバイスではない。前作ストリートファイター4の頃からヒットボックス自体は存在していた。しかし現在に至るまで大きな注目を集めていなかったように思う。

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Hitbox社性のhitbox

 

しかし、今回主催者側が新たにルールを定めることになった経緯は、有名プレイヤーがヒットボックスを使いその有用性を配信に流したのがの始まりである。
その配信を皮切りに、様々な議論が巻き起こり異例とも言えるスピードで新たなルールが整備された。

 

競技である以上公平性を保つためにルールを定める事は必要である。そして今回の主催者側のルール整備までの動きの速さは評価されるべきであると考える。しかし、私はそのルールが少し厳しすぎるのではないかと感じている。もう少し具体的に言うと、今回のルールでは、移動ボタンを4つまで、基本的にはレバーと移動ボタンの併用を認めない、攻撃に使用するボタンは8つまでと言うふうに定められているが、移動ボタンは6つまで、レバーと移動ボタンの併用を認めこの2つを併用した場合追加できる移動ボタンの追加は2つまで、攻撃に使用するボタンは10個まで認める位の緩さで良かったのではないかと考えている。

 

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EVO2017の会場の様子 参加者全員が楽しんでいる

新たに定められたルールでは、基本的には1つの動作に使用するボタンは1つまでとなってしまう。これでは今まで行われてきたプレイ上の動きしかできないだろう。
それにボタンやレバーの配置も市販されているものと大きく変わらなくなってしまうと思われる。それではつまらない。
そこに、すぐには使い道が思い浮かばない無駄なボタンを絶妙な”遊び”として入れることによって今の我々が考えもつかないような、操作方法やプレイが生まれるのではないかと期待しているのだ。

 

当然スポーツである以上(スポーツを目指す以上)、入力方法は均質化しプレイヤーの技量のみを競うべきであると言う反論も考えられる。

しかし以前にも書いたように、私は格闘ゲームコミュニティーの最大の魅力は異文化の交差点であることだと考えている。日本ではそれは主にオタクとヤンキー(ストリート)だったが、海外(米国)ではそれに加えてデイカルチャーも加わっていたように思える。私は一度だけ、Evolution(世界最大の格闘ゲームの大会。毎年7月にラスベガスで開かれる。参加資格は特になし。ど素人でも参加可能)に参加したことがあるのだが、そこで驚いた事はプレイヤーがそれぞれにカスタムをした自分用のコントローラを持っていたことだ。そのようなコントローラーの中には、どのように使うのか想像ができないようなもコントローラーもあった。そこで感じた事は、コントローラーを作ることも含めて参加者が楽しんでいるのだということである。

 

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今回のCPTの新ルール制定は(ストリートファイターと言う1種目ではあるが)、えもすればそのような作る楽しみを奪いかねないものである。交差点に入る道の1つを自ら塞いでしまうのはもったいない。

そして想像してみて欲しい、エボリューションやCPTの決勝で一見して使い道のわからないようなコントローラーを持参した新しいプレイヤーが、見たことのないようなプレイでレガシープレーヤーをなぎ倒す場面を。そんな光景を見てみたくないだろうか。?私は見たいなと思う。

だからこそ、私の大好きな遊びが決めた新しいルールに少し”遊び”が足りないのではないかと心配してしまうのだ。

 

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*追記 EVOのカスタム文化について触れた良記事があったので、リンクを貼ります。

jp.ign.com