福島第一原発の視察(見学)に行ってきた。その2 


前回

福島第一原発の視察(見学)に行ってきた。その1 資料館内での説明 - Way to spin the fragment

は主に視察で受けた説明と、その説明に対する個人的な意見を書いた。

 

今回は説明を受けた以降の実際の視察の様子について簡単に書こうと思う。

 

説明後は廃炉資料館の中で、事故のあらましについてのムービーをみた。内容もそうなのだけれど、空間をうまく使った演出しており、かなり迫力があった。

追加の説明を受けた後は廃炉資料館の中を自由見学。が、僕と友人は専ら東電の方を質問して責めにしていたw
1人壮年の男性の方がついて下さっていたのだが、その方がとても知識人豊富だったので資料館を眺めるよりもその方と話すと方がより知識が深まったからだ(資料館が模型中心の展示内容だったからというのもある。)。

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スマホを含むあらゆる撮影機器は持ち込み禁止なので、その場に預けていよいよ福島第一原発へ。

 

廃炉資料館から原発までは10kmほど。
チェルノブイリのようなゲートはないが、見慣れた景色の風景が廃墟と化しているのでチェルノブイリよりもショックは大きかった。また、ところどころに黒いビニール袋が積み上げられているのが、目についた。汚染した葉などを纏めたものらしい。
この辺の風景については、興味のある方はNetflixの番組(世界の現実旅行第2話)に動画があったように思うので、探してみて欲しい。

 

福島第一原発に到着。
企業練の隣の新事務本館(だったと思う。棟の名前は不正確やも)から中へ。新事務本館はとても綺麗な建物だった。
大まかな配置図はこのページが参考になると思う。

https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/osensuitaisakuteam/2018/11/2-3.pdf

 

中に入るにはIDカードが必要なので、ここで予め準備してされていたIDカードを受け取る。

 

中に入る際に面白いなと思ったのが、途中から土足厳禁になり靴を履く脱ぐこと。意図せぬ汚染対策なのだろうが、シューカバーではなく靴を履く脱ぐというのが日本的だと思った。

 

あと、ポイントポイントにスポーツドリンクがフリーで飲めるようにおいてあった。

中には入ってまずは食事。食事は1人380円だった。5週類ほどのメニューから選べた。俺は焼肉定食のようなメニューをオーダー。なかなかに美味しかった。量はごく普通。チェルノブイリのように量が多すぎるということはなかった(チェルノブイリでは作業内容によって量を変えているらしいので一概にはいえないが)

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東電の方から頂いた写真1 食堂のメニュー

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チェルノブイリ発電所での食事。美味しいけれど量が超多い

 

少し高い場所(7階とかだったと思う)より、全体を見渡す。
少し遠くに大きな施設を作っているのが目に付いた。質問をすると、汚染物を焼却する為の施設を作っているらしい。
2つ作っており、1つは東電管轄、もう一つは環境庁管轄とのこと。というのも、原発内と外で汚染物質の処理の責任母体が異なるらしいのだ。原発外でみかけた草木が黒いビニール袋の最終的な処理は環境庁が行うことになるらしい。

 

いよいよバスに乗って、事故を起こした原発の近くに向かう。一人に一つ線量計が渡される。上限は0.2mSv。このリミットの1/5に達するごとにアラームが鳴る仕組みらしい。
値の1/5に達するごとにアラームがなる仕組みになっている。
いくつかのポイントを回ったのだけれど、見どころは大きく分けて3箇所だと思った。
1.1〜4号機をまとめて見れる高台
2.事故を起こした2号機と3号機の間
3.津波で潰されたタンク
だ。

1.1〜4号機をまとめて見れる高台
バスの外に出て自身の目で1〜4号機を見ることができた。この場所は少し前まで、線量が高く普通の服で出歩くことはできなかったらしい。やはり、実際に自分の目で見ると迫力が違う。また、廃炉の進みぐあいによって、原発各号機の現在の様子が全く異なっていることに気づく。1号機は瓦礫が乗っていて、自己当時の状態に近いが、4号機にはチェルノブイリの新石棺のようなものが被さっており廃炉が進んでいることが見た目からも判る。この場所はバスの外にでたこともあり、前述の警告アラームが自分を含む何人かの線量計から発せられていた。

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東電の方から頂いた写真2 4号機にはカバーがかかっている。

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東電の方から頂いた写真3 一方1号機の上に瓦礫がのこっている。

2.事故を起こした2号機と3号機の間
バス越しとしはいえ、事故を起こした原発そのものに今回の視察で最も近づくの緊張する一瞬だ。近づいてまず思ったのが、「思ったよりも小さいな」である。原子炉一つずつは、記憶にあるチェルノブイリの新石棺よりも二周り以上小さい。また、重大な事故が起こったことや、繰り返し色々なメディアを使って放送されていたことから恐らく無意識のうちに自分の中でスケールを大きくしていたのだろうと思う。これは来てみなくては判らなかった。

 


3.津波で潰されたタンク
海岸側は津波の被害の跡が保存されている。その中でも、一番迫力があったのが津波で潰されたタンクだ。写真を探してぜひ見てみてほしいのだけれど、タンク津波の水圧でねじり潰されているのだ。その変形は完全に僕らの常識の枠外にあるので、突然タンクだけ見せられてもこのタンクに何が起こったのか理解できないかいと思う。なによりも雄弁に津波の破壊を物語っていたように思える。

1時間弱の上記のバスでの視察を終えると線量計のチェックが行われ、その上で体に放射性物質が付着していないかのチェックを行った上で(チェルノブイリでやったアレです)、外にでる。これで、見学は大まかには終わり。

 

最後に廃炉資料館で東電の方から、地域貢献についての取り組みについて説明があり見学は終了。帰路についた。

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帰りに連れていってもらった福島の夜明け市場。おしゃれな店がいっぱい


次回はチェルノブイリと福島に行った上での体験の相違点について書いてみようと思う。