福島第一原発の視察(見学)に行ってきた。その1 資料館内での説明

以下全て個人的な意見ですので、悪しからず。また、情報は2019年8月現在のものです。

 

先日友人から貴重なお誘いを頂き、福島第一原発の視察に行ってきました。友人とは去年のチェルノブイリ以来の仲。二人で一年に一度、俺たち原発に行っているねと笑いあう。


本日のスケジュールは大まかに分かれると、廃炉資料館の見学と廃炉に入っている第一原発への実際の視察。
まずは、福原駅までJRを乗り継いで向かい東京電力廃炉資料館へ。

f:id:s_s_satoc:20190907190142j:plain


そこで、原発の廃炉についての現状の簡単な説明を受ける。説明はとてもわかりやすい。


以下受けた説明を超簡単に説明すると、原子炉は放射線性物質を燃料にした湯沸かし機みたいなもので、震災時に色々あって空焚きしてしまった結果爆発が起こってしまった(4号機は空焚きしてないのだけれど、配管が3号機とつながっていたので屋根が吹っ飛んでしまった)。

 

 


でこの結果何が大きな問題(というかミッション)になっているとかというというと以下の3点
1.空焚きしてる時に溶けて落下した燃料棒の回収。
2.使用済みの燃料棒の回収
3.燃料棒に水が触れると放射性物質が混じるので、その水を減らす。

このうち3は全ての1〜4号機共通の問題なんで上の二つを整理すると以下のようになる。

 

f:id:s_s_satoc:20190905233018p:plain



4号機はかなり進んでる。1、2号機はまだまだっていう感じ。

 

で、3の汚染水対策だけれど主に2つの対策をしている。
α.汚染水そもそも減らす
β.汚染してるかもな水を組み上げてチェクする。場合によっては水を隔離。

αに関しては破損してしまった原子炉と水の接触を減らすのが必要。水は雨や地下水の形で原子炉と接触する。ので、
a.原子炉周辺を舗装してしまう(雨と接触させない)
c.原子炉に屋根を築く(雨と接触させない)
b.原子炉の周辺に氷の壁を築く(地下水と接触させない)

の3つの方法がある。特に面白いなと思ったのが氷の壁を築く凍土壁という方法。効果がそれほどではないとの見方もあるけれど、時期を限定すればかなりの効果があるっぽい(東電は15年12月からの3カ月間と17年12月からの同期間を比較した場合、1日約490トンだった汚染水発生量が約110トンまで減少したと発表してる)のでよい方法なんじゃないかと。


ただ、説明された東電の方自身がおっしゃっていたのだけれど、凍土壁は本来トンネルの工事とかに使われる方法なのでこんなに長期に渡って動かしている例はないらしい。
可能ではあれば同時並行的に別の壁を築く方法を模索した方がよいのかもと思った。

 

β,の汚染してるかもな水を組み上げてチェクする。場合によっては水を隔離。
ってのは主に水の組み上げをによる対策。1の対策をしてもなお触れてしまった可能性のある水を汲み上げて、チェックを行って汚染が既定値以下であれば海に流すということをやっている。

 

とここまで書いて、汚染している(可能性のある)水には2種類あることに気づく。


水A-
1,2の溶け落ちた燃料棒と使用済み燃料棒を冷やすために使った水
水B-
βの汚染してるかもな水を組み上げてチェクするさいに組み上げられた水。


このうち、フィルタ等による徹底的な除去の後に基準を満たしていても水Aは海に流していないそうだ。水Bは流しても構わないことになっているらしいのだけれど。
この流せない水Aは現在タンクに溜めつづけているらしい。が、タンクを置く場所が将来的になくなることが確実で、何らかの対応策が求められている。このままのペースでタンクに水Aをためていくと、タンクの容量限界(置き場所の限界)を迎えるのが2022年の夏。現在のところ、タンクごと埋める、基準を満たしていてる場合には海に流すなどの対策が考えられているらしいがいずれの方放をとるにしても2年は設備の設置に時間がかかることを考えると、方針決定まであと一年の猶予しかない。

 

f:id:s_s_satoc:20190907190125j:plain

廃炉資料館内の模型



個人的にはきっちり基準を満たしているのなら、海に流しても良いと思う。ただ、その基準は厳しくあるべきで、かつ検査自体は信用できる第三者機関(可能ならば国外の機関)に委託すべきだろう。

 

長くなりすぎたので、次回に続きます。(思ったよりも量が多くなってしまったので全4回の予定です)