都市のハードウェアとソフトウェア

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先日2年半ぶりに中国の成都に行く機会があった。滞在は実質一日半程度だったのだけれど、あまりに景色が変わっていて驚いた。到着したら適当な屋台で屋台で火鍋でも食べようと思っていたがその「適当な屋台」が消えていたのだ。代わりに日本でも見かけないような高いビルが立ち並び、中国で言えば深センのようになっていた。街を歩けば、音もない電動スクーターに乗っている人がいて、コンビニで買い物をしようとすると2次元バーコードをかざすように指示される。といった感じ。宿泊したホテルも非常に綺麗でセンスが良く、とても寛げた。

 

都市は建造物や交通インフラの集合体なのであって、それ自体がハードウェアであると言える。そして、ハードウェアとしては成都は既に東京よりも上だと感じた。

 

また、少し前にサンフランシコに行った。サンフランシスコは世界で一番家賃が高いと専らの噂である。ユニオンスクエア周辺に滞在したのだが、思ったよりも街が大きくなくて驚いた。ビルの高さもそれなりで、そもそもあまり新しくない。というか、表通りから一本裏に入ると明らかに治安の悪そう地域がある。ついでにいうと地下鉄も古くて汚い。

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ハードウェアとしてのサンフランシスコは東京よりも発展していないように感じられた。

 

ここで面白いなと思ったのは、家賃(地価)がハードウェアとしての都会と反比例していることだ。ハードウェアとして最も優れている成都が地価が最も安く、逆にそうではないサンフランシスコが最も高い。これは非常に面白いなと感じた。

 

単純に高い価値を生み出す企業が多い≒給料の高い人間が多いということもあると思う。しかし、それだけではないのではないだろうか。加えて言うと俺自身住んでみたいなと思ったのは、サンフランシスコだった。

 

サンフランシスコの魅力は一言で言うと、「センスの良さ」である。ビル自体は古くても、居心地が良くて美味しいカフェや、オーガニックのスーパーがある。一方成都の綺麗なビルに入ってるのは世界中どこでも見かけるメガブランドだった。

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センスは人が作り出す実体がないもので、都市でいえばインフラというハードウェアの上に乗っているものだ。その意味でセンスはソフトウェアだと言える。これは簡単に真似することも、作ることもできなない。故に人を惹きつける。

都市の魅力としてより本質的なのはソフトウェアなのかなと思う。そう言えば、昔チューリッヒに行ったときに想像していたよりもずっと小さくて古い街で驚いたのを思い出した。